質を整えることは、
人生を整えること。
私たちはこれまで20年にわたり、プライバシーが守られながらも、心地よく開かれた暮らしを、日本のあらゆる敷地で実現してきました。
建築を通じて提供してきたのは、空間そのものよりも、その中で育まれる「時間」でした。
私たちはこれまで20年にわたり、プライバシーが守られながらも、心地よく開かれた暮らしを、日本のあらゆる敷地で実現してきました。
建築を通じて提供してきたのは、空間そのものよりも、その中で育まれる「時間」でした。
日本には「理想の家は三度建てないと得られない」という言葉があります。
私たちは、引き渡しを終えたお客様にこう問いかけることがあります。
「次はどんな家を建てたいですか?」
返ってくるのは、しばしばこうした言葉です。
「もう一度、まったく同じ家を建てたい。」
私たちが手がけてきた住まいは、同価格帯の住宅に比べておよそ2/3の面積しかありません。
しかも多くの敷地は、開放感を得にくい周辺環境に囲まれています。
それでも、「もう一度この家を建てたい」と言っていただける理由。
それは、私たちが空間の大きさや装飾ではなく、「人生を整える質」にこだわってきたからです。
実際、一棟あたりの延床面積はおよそ90㎡。私たちは、限られた面積のなかでも本質的な快適さや開放感を実現できる設計力を大切にしてきました。
一見よく見せるために、目に見えない部分の質を下げ、販売しやすさを優先するという選択肢もありましたが、それは私たちの都合であって、クライアントのためにはならないと感じました。
質を高めるという選択は、数十年そこに暮らす方の心地よさのためであり、同時に私たち自身の技術の研鑽と誇りにもつながる、双方にとって本質的な選択だったのです。
限られた予算のなかで、どの要素が人の心に長く残るのか。
窓から見える景色、光と風の通り方、夜の静けさ、体感温度、そして構造の信頼性。
私たちは、それらを一つひとつ丁寧に整える設計と技術を磨いてきました。
暮らしの中で深まる「愛着」と「安心」。
それこそが、住まいの本当の価値だと確信した体験をしました。
2024年初旬、私の妻が体調を崩し、原因がわからないまま長く悩んでいました。
いくつもの病院を回り、薬も試しましたが、明確な改善は見られませんでした。
そんなとき、私たちは完成した自邸へ移り住むことになりました。
新たな暮らしが始まり、半年ほど経った頃、少しずつ妻の表情に明るさが戻り、やがて以前と変わらない日々を過ごせるようになったのです。
私は妻に質問をしました
「体調、良くなったの?!」
妻からは意外な答えが返ってきました。
「少し良くなったけど、大きくは変わってない」
えっ…
「この家で過ごしてたら向き合い方を変えたくなった」
「体調が悪い自分が嫌で仕方なかったけど、上手く付き合っていきたいと思えるようになった」
私はそのとき、これまで私達が形にしてきたものの本当の価値を、改めて知ることになりました。
そして確信しました。
空間には、心を落ち着かせ、人生そのものを整えてくれる力があるということを。
それは、偶然ではなく、積み重ねてきた設計と技術の結晶によって生まれたものでした。
一方で今、日本の建築業界は大きな転換期を迎えています。
材料費の高騰と価格競争の激化により、志ある若者たちが技術の道を諦める現状もあります。
このままでは、数十年かけて磨かれてきた日本の建築技術が、静かに失われてしまうかもしれません。
だからこそ、私たちは次の一歩を踏み出します。
空間がもつ本質的な力を、世界に向けて伝えていくために。
技術を、志を、未来につなぐために。
その想いから生まれたのが「TYPE U」です。
TYPE Uは、まず自分自身の心と暮らしを整えるための場所です。
そして、自分が使わないときには、他者の人生に価値を提供する場所にもなります。
その価値の循環が、私たち自身の喜びとなり、未来の社会に静かに広がっていくと信じています。